「見せない」技術を「魅せる」、社員の発案で大成功。
社員のアイデアで土日稼働。生産効率もアップ。
会社概要
ミノル製作所(株)
- 導入時期
- 2023年~
- 受け入れ実績
- 約25回、約70名(累計)
事業内容
主にへら絞り加工、スピニング加工、 トリミング加工、ブランク加工など
オリジナル製品の製造・販売
試作作りから中ロットまでを対応し、加工から研磨まで一貫ラインで製品を作ります。一個からの試作でも精魂込めて作ります。
本多 貴之 さん
代表取締役
きっかけ
社員の発案と社長の想い、お客様のリクエストに応えて。
元々、当社のへら絞りという貴重な技術を知って欲しいという想いがあり「燕三条 工場の祭典」へ参加を始めました。
初回の来場者の反応の良さから、「この期間だけではもったいない、いつでも見学と体験ができたらいいな」と思いました。
また、来場したお客様の「当社で作った物を売って欲しい」という声から販売もできたらいいなと思い、社員のアイデアや意見を活かしながら、より本格的にオープンファクトリーを導入することにしました。
実施内容
工場見学とへら絞り体験を選べるコース別で用意。
工場見学とへら絞り体験があります。社長が技術と工程を説明し、職人が実際の機械を使いデモンストレーションします。
時間や内容によりメニューが異なり、お客様自身でコースを選べます。
お客様の反応
タネも仕掛けもない。技術だけで見る人を納得させる。
見学もへら絞り体験も、参加されたお客様が本当に満足されて帰っていくので、とても嬉しいです。皆さん目の前で素材が製品になっていく技術を目の当たりにすると歓声が上がります。
好評の社長コースは、社長自ら工場内を案内し、作業工程から技術の説明します。「製品とものづくりへの熱い想いまでしっかり伝わる」と満足の声をいただいていますね。
社内でも、お客様が分かりやすいようホワイトボードを準備したり、床に誘導表示をしたり随所に工夫をしています。
オープンファクトリーは土日、特に日曜日に受け入れをしている工場がほとんどないのですが、当社は週末も稼働しているので、その部分でも来てくださったお客様からとても喜ばれていますね。
社内の変化
社員主導で発案・企画。拍手を貰ってモチベーションに。
社員は、お客様が楽しんでくれているのを間近で見れるので嬉しいと喜んでいます。
社員が「この技術をこう見せたい」「こういうことをしたい」と積極的に話し合ってプレゼンし、それを実践することでお客様から評価の言葉や時には拍手をもらう。それが仕事や技術向上のモチベーションになるのだと思います。
普段の業務の次のステップとして「新たにこれがやってみたい」「今までやったことがないけれど試してみたい」等、自分達で考えてくれることが増え、精神的な成長にも繋がっているのを感じますね。
水・木を休みにして土・日に工場を開けたらどうかというのも社員からの提案です。結果、土日のオープンファクトリーは好評ですし、通常業務も問題なく、生産効率も上がりました。
これから
お客様に合わせて独自のメニューにリニューアル。
2023年からオープンファクトリーをスタートしました。コースをいくつか用意しお客様の希望に合わせて好きなものを選んでいただいています。
一般のお客様や自社の顧客、それぞれに合わせた対応を考えながら、見せられるものと見せられないものの社内での線引きもできるようになってきています。
技術を絶えさせない方法の一つ、それがオープンファクトリー。
昔の職人の世界ではなんとなく「技術職=外の人に見せない」という固定概念がありました。
しかし技術を学ぶ自分自身が「それではいずれ技術が忘れ去られてしまうのではないか?」と漠然と危機感を覚えていました。年々職人が減っている現状で、「来た仕事だけしていればいいのか?」、「自分自身が貴重な技術の担い手として何をすべきか?」そんな風に考えていく中で始めたのが、オープンファクトリーという取り組みです。
古い固定概念を取り払い“見せない”をやめ、“ありのままを見せる”ことで、我々の技術の高さを世間に知ってもらえる、次世代に引き継ぐことができる、子供達に伝えることが未来へ繋がるチャンスなのではないかと思います。
これからは、時代に合わせてオープンファクトリーを導入する企業がどんどん増えていくと思います。当社だけでなく、みんなで燕三条のものづくりの技術を切磋琢磨しながら、それぞれの会社の個性を生かしたオリジナリティ溢れるオープンファクトリーが増えていくことを期待しています。
※掲載内容は2023年12月取材時現在のものです